遠くなる場所

【留恋】
『動』
(1) 名残り惜しく思う,未練を残す.
(2) 懐かしむ,懐旧の情にかられる:

デイリーコンサイス中日辞典 (三省堂)より。
未練というのではないが、このところそんな心境で近場を歩いている。
蛇足だが中国語での発音も少し冷たい秋風に似て響きがよい。


転居まで残すところちょうど1ヶ月。
当地はダンナの実家もあるため、二度と訪れない場所ではない。
わざわざ帰省中に足を向けるのはどうかと思う場所をいくつか巡っている。
1時間ほど歩いた隣町の駅で自転車を借り、気になっていた鯛焼き屋を訪れてみた。
結果としては2件とも閉店していたのだが、まあそれはそれ。
定休日でないことは確認していたものの、かたや臨時休業、かたや「テナント募集」。
縁がないというのはこういうことなのだろう。


そもそも鯛焼き巡りは散歩の口実として考えついたものだった。
知っている(はずの)街を少しだけ探検してみるのが楽しみなのだ。
目的地近辺の地図だけ印刷し、途中は道路標識と自分の勘を頼りに歩く。
今回は自転車なので景色がくるくると変わり、自由な気分をより満喫できた。
地図にない道があったり、思わぬ所で坂に行き当たったりも楽しい。
一人旅というのも意外と簡単だったことに気づかされた。
身近なもの、遠ざかっていくもの、変わらないもの。
こちらでもあちらでも、こうして少しずつ視界を広げて行きたい。

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