なんにもいわず

言葉にしてしまわないほうがいい、定義してしまわないほうがいいものもある。
渾然としたまま抱えているほうが人間だから。
その意味が少しずつ解ってきた。


と、ここで書き連ねてしまうのは矛盾であり失礼でもありうるのだが。
自分が感じていることが既に捨象の結果であるように、まとめてしまうとそこに限定がかかる。
少なくとも私には複数の意味を含めた定義などできないし、定義づけるなら一つに絞りたい。
しかし何らかの事象に定義をつけてしまうと、次からその定義を通してしか見えなくなる。
仕事上は便利な概念なのでむしろ大いに活用したいところだが、そうでないものもあるのだと。
感じたまま、思ったままでいたほうがいいこと。
恐らく、変に片付けてしまいこんでしまわないほうがいいことなのだと思う。
そう言えば以前イラスト教室で「口にするな、絵にするんだ」と指導されたことがある。
言葉にまとめてしまうとイメージの広がりが止まってしまうから、その前に描けとのこと。
言われた当時は「ご無理ごもっとも」と反発を感じたが、それもまた問題は同根だった。
定義の枠内から何事も見聞きしていたのだろう。
自分で用意した自分の鳥籠。
扉を開くのは自分の自由だ。

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