初心注入

期を改めた出版翻訳講座の和訳初回。
「語学ができる、試験の点数がいいのと翻訳は全く別物」が繰り返し強調されていた。


例えば、化学分野でメスフラスコの標線を目盛りと記述するのはいかがなものかと。
「標線」は専門用語であり、「目盛り」とあるだけで専門性の低さが看破される。
「これで化学が専門とはいただけません」
中国語での意味を理解していることは伝わっても、それでは翻訳として採用できない。
殊に分野の限られている産業翻訳の場合、読者は国内のその道の専門家である。
同じ世界の言葉で語られていなければ読みづらいこともあろう。
さらに、場合によっては原文作者の理解が浅いのかとまで誤解を生みかねない。
先生いわく、そういう訳文を提出する応募者に限って「中国語は得意」なのだそうだ。
「和訳する以上、日本語が先です」
今期の主眼をそこに置くという宣言のためか、いつになく語気が強かった。
産業(実務)翻訳の場合、出版物より対象読者が想定しやすいということでもある。
想定しやすいのだから、可能な限り合わせるべきなのだ。
一般向けには訳し開くべきでも、社内資料であれば漢字の置き換えよいなど。
理解/解釈を変えるわけではないにしても、表現は変えるのがプロということ。
翻訳は読者のためにするのだという大前提に変わりはない。
読者は誰か。
何を差し置いても意識すべきなのは、読者は日本(語で読む)人であること。
より日本語らしい表現の探求がお題とのことで、楽しみになってきた。

“初心注入” への5件の返信

  1. 私は思いきり化学/生化学専門を自称してるんですが、
    「標線」という言葉を久しぶりに見て、ハッとしました。
    そう訳すべきところで、そう訳せるか、自信がないなあ。
    気合いを入れないといけないと思いました。
    でも、もしかしたら、メスシリンダーだったら、あえて標線
    とは訳さないかもしれないな。メスピペットも。
    メスフラスコ、ホールピペットなら、標線と訳さないと、
    確かにダメそうな気がします。

  2. べんがらさん>
    文書の用途やその文の前後の流れで表現が変わるのも確かですよね。
    この例では希釈して500mlにするという文脈だったので、標線が正解とのこと。
    読者が自身の立場から見て自然に抵抗なく読めるのはどっち、というお題でした。

  3. 返信ありがとうございました。
    なるほど、そういう解説だったんですね。
    そういう使い方はメスシリンダーの本来の使い方ではない
    (そういう目的にはメスフラスコを使います)ということもあり、
    メスフラスコやホールピペットではなくて、それがもしメスシリンダー
    だったら、私なら「標線」という訳にはバツを付けるでしょうねぇ。

  4. べんがらさん>
    大変失礼しました!「メスフラスコ」と書いたつもりで「メスシリンダー」と書いておりました。
    基本のきから要反省です…。

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