奇妙な通達。空調のリモコンから電池を抜け!

私のいる五号楼と隣の四号楼は各室に空調が据え付けてあるが、これが暖房の役に立たない。
暖房は専用の管にどこぞから熱湯が流れてくるという全校共通の奇妙な仕組である。
従って涼しくなった以上もう空調を使う人なんぞ流石にいないことは明らか。
しかしわざわざリモコンの電池を住人が抜くなんて…..。
手紙でも来てないかなぁと思い寮の出入口を見に行くと、何やら黒板に書いてある。
大抵ここには「小包あり、郵便局へ急げ」「電話かけすぎ、料金追徴」などが並ぶのだが、
読んでみると空調の誤動作を防ぐ為、リモコンから電池を抜くようにとある。
主電源も切らずに誤動作を防ぐも何もちゃんちゃらおかしいが、それが中国人。
要は公費で入れている電池の消耗が惜しいだけなのだろう。見えみえもいいところだ。
ともあれ開けてもいいならこじ開けてやろうとリモコンを手に取る。
普通リモコンというと背面に蓋があって矢印の方向に引けば開くものと決まっている。
ここでも中国製のTVのそれさえちゃんとそうできている。なのに空調のだけ違う!
恐れ多くもシャープ(ここの”夏普”かもしれないが)製なのに、背面に蓋がない!
前面の蓋はスライド式で、引ききっても外れないようにできている。
細かい設定をするときしか見ない個所なので多分その存在を知らない人もいるだろう。
ともあれ、電池が何処なのか表示がない。こうなったら自分でこじ開けるまでである。
とはいえネジもなければ噛み合わせのずれも見当らない。怪しいのはやはり蓋だ。
プラスチックの柔らかさに任せてうににと左右に引っ張りスライド蓋を外す。
案の定ここにましましていた。錆びた単四電池が二本、ごろっと。
つまみ出してさっさと蓋を直したはいいが、何故か指が臭くなった。

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