本学の「互相」の子を他人に紹介することになる。私が商談?

中国語を安く教えてくれる人がほしい、などと知りあいに頼まれて一週間ほどになる。
いわゆる家庭教師のような存在には二種類あって、私の利用している「互相」は無償で教えあうが
お金を払って一方的に勉強を教わる「補導」というのも現地の学生に頼めるのだ。
彼が探しているのは後者であって、あえて日本語を使う気はないから安く済む子を、というのが
条件であることは聞いていた。いわく相場は相手の年齢(学歴?)に比例して釣り上がるらしい。
だから低学年の子を希望するが、逆に共通(一般教養)科目の多い彼等はつかまえにくいと。
幸か不幸か私の「互相」の子がちょうど一年生だったので交渉しようという話なのだ。
果たして今日は約束の日なので彼女がやってきた。会客室が混んでいるため入口の椅子で妥協する。
授業の内容で聞くべきことも特別なかったので冒頭から問題の件をもちかけてみた。
誰か時間に余裕のある知りあいはないか打診してくれと頼んでみたのだが、無理らしい。
その辺で同様に「互相学習」している友達をいちいちつかまえて聞いてくれたのだが駄目だった。
別にそれならそれで私は構わないと言ったのだが、彼女は自分が引き受けてもいいという。
他の子に時間を割くのが私にとって不快でないといいが、などと気を遣ってさえくれた。
それはそれ(彼女にとっては小遣い稼ぎ)、これはこれ(お互いの勉強)だろう。
かくして商談は成立してしまったらしい。両者を引き合わせるのは今度の土曜日。
我々の「互相」にあわせて面会だけすませておこうかということで。

果たしてもらえた新しい教科書!でも感慨はなし。

二科目も自信の持てない科目があったので昇段できるかどうか心配だったが、
授業に出てみたら新しい教科書を渡された(というより配られた)。
安心はしたが、誰も落ちていないので幻滅。何だ、甘いテストだったのか。
さらに私をつけあがらせてしまったのは先々週の”総合考試”の成績。
先生が「教卓においておくから勝手にごらん」とばかりクラスの成績一覧を置いていった。
各人が自分の点数を見られるのは問題発見のためにいいだろうが、他人のものは…..。
とりあえずクラスで一番の成績だったが、騒がれて逆に嬉しくなくなった。
余所のクラスの成績が判らない以上どれだけの位置かなんて知れたものではない。
ともあれ二人で昇段できたということで(とこじつけて)、師匠とケーキを買う。
昼から贅沢な物を食べてしまうと一週間が終った気分になってしまうのは何故だろう。

旅の疲れか気疲れか、まるで動けず。日曜でよかった。

いつも目覚ましより早く六時には起きられる私が、今日は八時までぐっすり寝ていた。
まだ起きたくないとも思いつつ、荷物の片付けやら洗濯やら旅の後始末が残っている。
昨日は始末どころか着替えさえせずに倒れ込んで寝てしまったのだ。
分厚い上着も汚れたので洗わねばならないし、遅くなってはいけない。
乾かないのはもとより、午後にはいつもの通り財経の子が来ることになっている。
用事は午前中に済ませないと…..頭も瞼も重いまま、掃除そして洗濯。
一段落して手持資金を確かめる頃には、もう十一時になりなんとしていた。
午後がんばって「互相学習」。色々と旅の体験談などを話す。でもほとんど日本語。
教科書の内容を説明してもらう時ちょっと中国語が入ったかな程度のものだった。
それだけ財経の彼女は日本語がうまい。こういう時には安心してしまう(苦笑)。
そして帰るなり爆睡、夜まで目覚めず。どっか壊れてんのか?私…..

「互相学習」に費やすこと二時間半。喋れるんじゃないのか?私…..。

普通テスト期間中は学外の子を呼ばないものらしいが、私は来るものは拒まない。
相手が今週もやりたいと言うからには、空いている時間ぐらい提供するのが筋だと思っている。
なにぶんお互いの勉強を手助けする約束なのであって、単なる私の為の補習とは違うからだ。
それでも週二回のところを旅行の都合で一回にしてもらっているのでお互い様とも言える。
私はテストも残り一科目だし授業も勿論ないので何も教えてもらう必要はない。
そうなると彼女に初級日本語を少し教えるだけなので余り時間は要るまいと思っていた。
ところが何故か今回に限って持って来ている教材の量が多い。授業がかなり進んだらしい。
彼女いわく、二週間ごとに先生が変わるのでやりかたが一定していないとのこと。
しかも今回の先生が金曜に試験をすると言いだしたから大変らしい。
短い挨拶文を用いて先生と対話するのが今回の課題らしく、説明に困ることしきり。
何故なら中国語には「ただいま」/「おかえり」、「頂きます」/「召し上がれ」に相当する表現がないのだ。
つまり私は概念から説明せねばならない。しかも自分の拙い中国語で…..。
辞書を引きつつ筆談も交えつつ苦戦はしたものの、何とか理解はしてくれたようで一安心。
文の読み方も教えて欲しいというので最初は彼女に読ませてところどころ訂正を入れ、
一段落してから全体を通して私が音読した。神妙な態度で聴き入っていた彼女が一言、
「日本語の時はゆったりとしてて通るいい声ね」。…..。

奇妙な通達。空調のリモコンから電池を抜け!

私のいる五号楼と隣の四号楼は各室に空調が据え付けてあるが、これが暖房の役に立たない。
暖房は専用の管にどこぞから熱湯が流れてくるという全校共通の奇妙な仕組である。
従って涼しくなった以上もう空調を使う人なんぞ流石にいないことは明らか。
しかしわざわざリモコンの電池を住人が抜くなんて…..。
手紙でも来てないかなぁと思い寮の出入口を見に行くと、何やら黒板に書いてある。
大抵ここには「小包あり、郵便局へ急げ」「電話かけすぎ、料金追徴」などが並ぶのだが、
読んでみると空調の誤動作を防ぐ為、リモコンから電池を抜くようにとある。
主電源も切らずに誤動作を防ぐも何もちゃんちゃらおかしいが、それが中国人。
要は公費で入れている電池の消耗が惜しいだけなのだろう。見えみえもいいところだ。
ともあれ開けてもいいならこじ開けてやろうとリモコンを手に取る。
普通リモコンというと背面に蓋があって矢印の方向に引けば開くものと決まっている。
ここでも中国製のTVのそれさえちゃんとそうできている。なのに空調のだけ違う!
恐れ多くもシャープ(ここの”夏普”かもしれないが)製なのに、背面に蓋がない!
前面の蓋はスライド式で、引ききっても外れないようにできている。
細かい設定をするときしか見ない個所なので多分その存在を知らない人もいるだろう。
ともあれ、電池が何処なのか表示がない。こうなったら自分でこじ開けるまでである。
とはいえネジもなければ噛み合わせのずれも見当らない。怪しいのはやはり蓋だ。
プラスチックの柔らかさに任せてうににと左右に引っ張りスライド蓋を外す。
案の定ここにましましていた。錆びた単四電池が二本、ごろっと。
つまみ出してさっさと蓋を直したはいいが、何故か指が臭くなった。

遂に「昇段考試」開始!のっけから二科目。

今週は四日連続で「昇段考試」があり、代わりか金曜は休みになる。
言わば中間試験のようなものだが、名前に昇段とついているのが曲者。
合格が前提に作られているが、一科目でも落とすと昇段できないのだ。
そして今学期の後半また同じ教科書を最初から勉強し直しということになる。
下の段の子が上がってくるので、もし落伍したらクラスも変わってしまう。
落とせないとは思うののの、ここまで迫ってしまっては勉強のしようもない。
しかも今日の科目は聴き取りと泛読なので復習のしようもなかった。
だからみんな一緒だろうと自分に言い聞かせ、八時の聴き取り試験に参加。
解答用紙が二枚あって、どっちが先だろうと考えているうちに第一問が終わってしまった。
でも焦る暇はないので第二問から復帰。ともあれ六割さえ取れれば昇段はできる!
ところが杞憂だった。問題文は二度ならず三度も流されたのだ。安心そして退屈。
長い昼休みを挟んで泛読。一見したところ全て選択問題のようだ。
制限時間は一時半から三時までとなっていたが、途中退室は許されるらしい。
お言葉に甘え、二時ちょっと前に提出して席を離れた。背後に歎声を聞きながら。
考えて解る問題は最初から解けるし、考えて解らない問題に時間を割くのは無駄だ。
ただそう思って出てきたのだが、相当でかい態度だと思われてるだろうな。

ドイツ留学中の友達からの手紙。よく届いたもんだ。

ここには日曜でも郵便物が届くらしい。しかし一日一便らしく、夕方にしか来ない。
更に部屋番号まで書いてあっても建物の出入口までしか届かないので厄介である。
手紙をくれる人も結構いるので、私は決まって五時半頃に出入口を覗くことにしている。
今日も一通あった。しかも差出人の住所が漢字で書かれていない、ということは…..?
ドイツの住所を控え忘れてしまって私からは連絡していなかった子が思い出してくれたのだ。
私が彼女に住所を教えたのはまだ日本にいるうちだったので、部屋番号など書かれていない。
それでも学校から寮までは届くのだから感心したものである。郵便屋さんも慣れたのかしらん?
旅先の様子だという絵はがきの写真を眺めながら返事を書く。
書き終わったはいいものの、ドイツまで封書はいくらするんだろう?
日本までが五元四角なのは覚えているが、流石に欧州までとなると判らない。
確か航空便は遠くなると高くなるはずだったが…..郵便局に行くしかないか。
歩いて二十分もかかり更に局員がすばらしく訛っているあの局に。

朝っぱらから「互相学習」。でも楽しかったので満足。

今日は朝八時から本学の子が来てくれる約束である。とりあえず起床は六時。
平日なみに朝の時間を過したつもりが、ゴミ出しをしていて少し遅れてしまった。
果して彼女は時間どおりに来るくちだろうか、それとも無頓着な方だろうか。
こんな時ばかりは相手にもルーズでいてほしいと思ってしまう私。ともあれ門へ急ぐ。
まだ会客室の電気もついていないというのに、彼女は既に来て待っていた。
弁解しつつ謝ると、苦笑どころでなくきゃははと笑われた。珍しく思われたらしい。
ともあれ管理人に電気をつけてもらい、本日の学習開始。まずは彼女から。
基本名詞を覚えるためのものらしいプリントで、読み方の復習をしたいという。
日本間・洋間それぞれに家具も描き込まれており、覚える単語の量が多くて大変そうだ。
「和室」には炬燵や座布団、はては火鉢やら掛軸までの家具類があり、障子も床の間もある。
「洋室」にはテレビからエアコンまで外来語がにぎやかに盛り込まれていた。
いくら何でも火鉢なんて一般家庭には最早ないと思うのだが…..。
私の番になったので口語の教科書を出し、対話課題の練習相手になってもらった。
歳が近いせいかどうも進めるうちに話題がそれて横道に行ってしまう。
それが楽しくもあり、また生の口語に触れるいい機会でもある。でも問題が…..。
日本には普通にあっても中国にはないもの=「ですます調」のような丁寧語。
中国にはあっても日本ではまず見掛けないもの=バスの讐票員(車内で切符を売る人)。
中国のスーパーにしか多分ないもの=荷物の預かり所。やはり万引防止のためらしい。
そんな話から何故か生活費の話まで、よくもまぁ私の語彙でついていけたと思う。
残念ながら来週は出かける用事があるので一回しか来てもらえない。しかも水曜。
元々の約束が火曜と土曜なのに大丈夫かと聞いたら、水曜ならとあっさり承諾してくれた。
ここまでさくっとした人柄も余り見掛けないような気がする。

旅行社を訪ねる。騙したのは誰だ!

来週テストの打ち上げに杭州旅行をするため、切符の手配をする段になった。
『地球の歩き方』によると、北京西路の国際旅行社に行くと日本語が通じるとある。
また、切符の手配もやっていると確かに書いてあったので疑いもなく師匠と出かける。
と、日本語のできる人に会えたはいいが「切符はここではとれない、金陵東路に行ってくれ」と言う。
ふに落ちないながらも言われた通りまた行ってみると、今度は「切符は四日後までのものしか売れない」。
すなわち来週また出直せという。売っていないものは仕方がないので引き下がった。
本には一週間前から予約できると書いてあるからわざわざ来ているというのに!
何もせず帰るのも癪なので、師匠につきあってもらって母のお使いをすることにした。
漢方の外用薬を友達に頼まれているので買っておいてほしい、というものだ。
南京東路に医薬の百貨店を名乗る所があるので訪ねてみると一発で買えた。
そして引き返す途中ふと道の対岸を見ると、ここにも国際旅行社がある。
しかも切符を扱っていると看板あるので、だめもとで入ってみた。
聞いてみると、切符だけでは売れないが宿の予約と一緒になら受けつけるという。
何とも理不尽な話だが、二度手間になるよりはましなので両方やってもらった。
そして、この一件のオチ。受け取りは北京西路の店で、だそうな。何てこった。
じゃあ最初の相手に粘って同じ条件を出せば交通費を無駄にすることはなかったのか?!
これって中国人にしてやられたんだろうか。本に騙されたんだろうか。

ぼちぼち発表される昇段試験の日程。生殺し。

昨日のテスト疲れのせいか、今日の朝イチは学生が少なかった。
先生も試験監督だったのか妙に同情してくれて、授業の開始を遅らせたほどである。
が、癪に障ることに、昨日の「総合考試」とやらは成績に全く関係ないらしい。
「単なる学力水準の参考」にするだけなんだったら本試験のあとにしてくれっちゅうに(怒)!
やっと教室の席が半分ぐらい埋まったところで、先生がおもむろに来週の予告。
泛読の試験は月曜の午後一時半からで、内容は半分が授業と一緒で半分が新しいもので…..。
木曜の授業はなくなる、ということだった。何だか楽そうで、それはそれでいい。
次の時間には、精読の試験が木曜の朝八時半からだということを聞いた。
また出題の内容から傾向までご丁寧に解説してくれたのだが、ありがたくない。
選択式のが多いってことは、つまり特に勉強の必要がない訳であって、嬉しくない。
何故ならこの本試験は「昇段試験」であって、落伍者をふるい落すためにあるのだ。
見るからにやる気のない連中にはいっそ出ていって欲しいので難しい問題も必要だったりする。
午後にはまた聴き取り試験が月曜の朝八時からで内容は本とは違って…..の解説。
余りにばらばらだらだら説明されるとだるくなってしまう。
何でまとめた日程表を配るって頭がないんだ?中国人。