私は田舎者なので、人ごみを歩くのが苦痛である。
知らない人の速さで歩くのがどうも下手なようだ。
引っ越して会社が近くなったのをいいことに、最近では徒歩で通勤したりしている。
今日は企みごとがあって早めに出社したかったので朝からJRに挑戦してみたのだが、案の定ホームが遠い。
主流の人々に逆行するのでなかなか進めないのだ。
それでもどうにか改札を通り、最後の難関とも言えるホームの階段へ到着。
降りようにも爪先すら差し込めない己の逆行ぶりに困惑。
仕方がないから一団をやりすごそうかと考えていると、ずずいっと視界に入る黄色くてでっかい背中。
何とも言えない怖さをまとったおっさんが、無理やり私の前に割り込んで階段を突き進んでいるではないか。
小者の私は割り込みなんて許す気になれないのが普通だが、考えること約二秒。
このおっさん、むしろありがたいぞ。
なんかこわいから近づきたくないけど。
おっさんは私より一回り以上でかいので、露払いに丁度いいのだった。
ちょっと優雅な気分で三段ほど後ろをちょこちょこ降りる。
なんて楽ちん。
…..あれ。露払いがつくのって相撲取りじゃなかったっけ。
ということに気づき、軽くへこむ木曜の朝。