小冊子を持つ女

勤務先のとある社員さんに頼まれ、昼休みに近くの駅まで名刺を届けた。
待ち合わせ時間ぎりぎりまで不覚にものんびり食事していたため暢気な街中をばたばた走った。
幸い特に待たせたわけでもないようだった。
名刺を箱ごと渡すと、引き換えに小冊子の束。
午前中の訪問先に持って行った残りらしい。
「持って来すぎた」というので、一掴み預かって会社へ運ぶことに。
駅で目立つ冊子を受け取って歩き出したせいか、すれ違う人々が「いりません」という顔をする。
や、別に配りませんから。
持って帰るだけですってば。
心配しなくていいから見ないで。
片手には黄色と白の冊子の束。もう片方には地味な小さい手提げ。
やはり配って歩くように見えたのだろうか。
悔しいので足早に移動したが、逆に怪しかっただろうか。

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