逆帰省

母が我が家にやってきた。
前回もそうだったが、何泊するか分からない。
当人に聞いても未定とのこと。
とりあえず、麦酒を冷やして新大阪まで迎えに出た。
東日本の朝とは10度ぐらい違うせいか、改札で羽織を脱ぐ母。
ヒートショックにならないかと心配しつつも、まずは自宅へと同行。
長旅でさぞや疲れているだろうと思っていたが、存外に元気なようだった。
まずは烏龍茶で一服してもらい、いつもの放鳥。
顔を覚えていないのか、こまが一向に近づこうとしない。
おやつを手のひらに乗せたら、やっと寄っていった。


まずはひととおり、近況を聞く。みんな相変わらずのようだ。
多少の不調や悩みを抱えつつも、まあ平和に折り合いを付けて暮らしているらしい。
そうせざるを得ないという諦めのようなものが随所に聞こえるのではあるが。
とりわけ深刻だったのは、生活にかかる費用の話。
父の年金は税金やら健康保険料やら天引きされるとほぼ残らないという。
どうにか二十年分ほどの蓄えはあるが、どこまで生きていていいのかという問いに答えられなかった。
今の私には「大丈夫、養ってあげる!」と言えるだけの甲斐性がない。
正直、この先そんなたいそうなものを身につけられる自信もない。
「あんたには先にふるかわ家を支える責任があるからねぇ」のつぶやきが重かった。


はるばる出てきて疲れているところに申し訳ないとは思うものの、積年の悩みをぶちまける。
母が直接どうにかできる問題ではないが、彼女の助力なしに解決できそうにもない。
言質を引きだそうとするつもりはなかったが、静かに「できるだけ伝えておくね」と言ってくれた。


いかんいかん。ちょっとでも親孝行しておかねばならぬ時に、却って心配事を背負わせてしまった。
明日は義母との会食の後、淡路島にでも連れて行こうかと思う。
などとカッコイイことを言いつつ、手配はダンナがしてくれたのだった。

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