対象読者

たいていの入門書は、誰が読んでも分かるように想定した書き方になっている。
前提とされる基礎知識が足りず首をひねることはあるが、読み進めるうち分かることも多い。
少し慣れてくると専門用語の誤植に気づいてしまうこともあるぐらいだ。
しかし専門書となると、やはり前提とされるものについていけないことがままある。
たいていは序文のあたりに対象読者が明示されているので、すぐそれと分かるのだが。
『世界で一番やさしいマンション大規模修繕』なる本を題名だけ見て借りたら失敗した。
対象読者が建築家だったのだ。
しかも半分ほど読み進めるまでその想定が読み取れなかった。
さほど難解な用語や言い回しもなく流し読みをしていて、ある箇所で違和感を覚えたのだ。
読者が管理組合にアドバイスする?
もしやと思って見直してみると、やはり一個の住人ではなく外部の誰かが想定されている。
こんなこともあるものか、と力が抜けた。
体裁がムックで、中身も読みやすいのに、一般書でなく専門書だったとは。
何ら建築に関わりのない私でも、参考になる点は結構あったのでいいと言えばいいのだが。
やはり文章は一部でなく全体を把握しないと危険だ。
仕事の場合、支給される原稿が全文であるとは限らないが。
分からなければ問い合わせる必要を感じた。
それこそあまりに基本的で、同業の誰も意識しない前提なのかもしれないが。

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