真昼間に固定電話が鳴った。
出てみると、流暢な英語で先日の社名を名乗るではないか!
おどおどしてしまって返事が出ない。
何しろ私は英語が喋れないのだ。
耳にするのが英語であっても返事は中国語になってしまう。
喋れる外国語はほぼ中国語のみになってしまっている。
よく冗談で「I can speak only Chinese」と自己紹介するが、本当は本当だ。
声の主にこちらのびびりが伝染してしまったらしく、
英語と中国語がちゃんぽんになってきた。
傍から聞いていたらさぞかし面白かっただろうが、無論そんな余裕はなし。
とりあえず一原稿をメールしてくれるというところで話は終わった。
…..会話そのものが苦手なのに電話って更に怖いのね。
営業活動
私の翻訳稼業は基本的に受け身である。
口を開けて仕事が降ってくるのを待っているようなものだ。
多少の危機感を覚えつつはあるものの、急募案件が出ていないときはそんなもの。
唯一しているのが翻訳会社への求人応募。売り込みとも言う。
中文和訳が専門なため日本の会社にしか自分では売り込まないが、
たまにTradosの登録情報を見てメールをくれる海外企業もある。
以前は急募案件のみ応え、「登録翻訳者募集」は無視してきた。
英語で対応するのは疲れるので最低限にしておきたいからだ。
しかもたいていは英文和訳の登録募集なので、採用されても嬉しくない。
#そんなこといつまで言っていられるか自信はないが。
今回もらったメールは登録翻訳者募集の旨なのだが、発信元が上海だった。
募集しているのも中文和訳とのことなので、初めて応募書類を作成することに。
それにしても自己紹介を英語で書くのは何かむずがゆい。
中国の会社だったら中国語で書かせてくれとも思う。
ありったけの経歴を並べては消して、体裁や書式を整えて、気がついたら3時間経過。
履歴書や経歴書の整理をしたことがあってすら3時間もかかっていた。
英語どうこうの問題ではなく、売込みが難しいということだと思う。
ぼーぼーどり
夕飯は何を食べたいかとダンナに訊くと、「ぼーぼーどり」との答え。
私「ぼーぼーどり?……からかってる?」
ダンナ「読み方が思い出せないけど、ぼーぼーどり」
私「棒棒鶏?……どんな食べ物か解ってて言ってる?」
ダンナ「鶏肉ときゅうりの細切りのやつ」
私「合ってるな、それで。でも棒棒鶏って胡麻味噌だよ?」
ダンナ「ごまだったっけ?」
私「……じゃあタレだけドレッシングにする?蒸し鶏サラダ?」
ダンナ「じゃあそれで」
ここで冷やし中華の材料が一式ありながらハムだけないことを思い出す。
半強制的に「蒸し鶏の冷やし中華」で交渉妥結。
JTF翻訳環境研究会
日本翻訳連盟の主催する「JTF翻訳環境研究会」セミナーに初参加。
フリーになったら行ってみたいと以前から思っていた、のに遅刻。
大江戸線の深さは侮れないと改めて反省。
セミナーはほぼ毎月あるのだが、中国関係は年に一回しかない。
午後に打ち合わせする予定だった元上司に無理を言って日をずらしてもらい、
恐る恐る会場に向かった。
講師は中国のみならず世界各地でローカライズ事業を営まれているという。
最近の中国事情を裏表なく丁寧に説明されていた。
そして、「一社で行っても苦労が多いばかり、皆で協力しませんか」とのまとめ。
私以外の聴講者はどうやら翻訳会社の(会社業務で来ている)人々だったようで、
質疑応答も耳に痛いほど切実なものだった。
感想。
中国ではやはり「大きいことはいいことだ」、職人芸より薄利多売の文化らしい。
でも私は一日本人フリー翻訳者である以上、職人になるほかない。
大陸では大意が通って間違いさえなければ翻訳業務は完了とみなされるそうだが、
日本人ことに日本の日本人は違う……その隙間が居場所になりそうな予感。
休憩時間に名刺交換を試みる勇気も出ず、終盤までおどおどしていたが、
公演終了後に複数の方から声を掛けていただき内心ほっとした。
履歴書を見たいという副社長(!)まで現れ、望外の喜び。
早速メールで送りつけてみたが、どうなることやら。
未来からの手紙
普段は1時間ごとにメールチェックをしているので、
何事もない限りは4時に読んでいるメールは当日3時台までのものである。
が、さきほど1通「8月8日午前1時」のものが入ってきた。
「ストレスチェックをしてみませんか」
そして本文は
「あなたは自分に対して不信感や罪悪感を感じていませんか。」
自分より何か見えないシステムに不信感を禁じえないのだが。
点と線
勤めていた会社の元上司と打ち合わせをしてきた。
(と表現すると本人は嘆かれるかもしれない)
ありがたいことに、単発案件の打診である。
が、翻訳とはやはり関係ない。
強いて言えばシスアド仕事の難しいようなもの、ダンナ曰く「SI屋さんの仕事」。
必要なシステムの要件定義から業務フローへの落としこみまでというと大げさだが、
実際そんなようなことを元上司およびその現在の部員たちと考えることに。
……つまり、またしても「何とかする能力」の出番だ。
話を整理してみると、「自由記入コメントを定型化できないか」という課題が浮上。
記入している側からすると、自由記入だからこそ伝えられる内容があるという。
しかし、いくら自由とは言え、使われる語彙は業務の範囲内に収まるもののはず。
どんな語句が多用されているのか数えるだけでも価値があるのでは?と呟くと
元上司からは「いいじゃんそれ、まとめてみてよ」とのお言葉。
で、実作業として語彙の出現頻度を数える方法はと言うと。
Tradosの派生商品?MultiTermExtractの辞書生成機能が使えることに気づいた。
あいにく私が持っているのはフリーランス版なのでモノリンガル用語抽出はできない
(対訳を用意して言語ペアを作成する必要がある)のだが、
今回は頻出語句さえわかればいいのでまじめに訳す必要はない。この手はありだ。
意外なところで結びついた(らしい)点と線。
面白いことになってきた気がする。
が、やっぱり履歴書に書けるお仕事ではなさそう。
もう就職する気はないのでかまわないけど。
待てない人
山手線に乗って間もなく、車内放送が入った。
後続の電車で急病人が出たので、時間調整をするとのこと。
次の駅で停車時間を延ばし、16分発にすると案内された。
さて、駅に着くと。降りる人がいるわいるわ。
乗っていた人の6割ほどが京浜東北線に乗り換えていた。
確かに京浜東北線は乗り換え後すぐに発車したのだが、
時計を見ると14分。
2分足らずが待てない人がざっと6割。
空いた車内は冷房の効きがよくなり快適だった。
私は何分の差が出たら乗り換えたのだろうか、自分でも首をかしげる。
通常の運転間隔を超える待ち時間あたりが境界線だとすると、
それでも5分以内なら待つことを選んだと思う。
1分を争う急用があるわけでもないし、あっても……。
新橋
日比谷図書館へ言語学の本を借りに行った。
図書館を囲む公園では既に蝉の声が。
こんな都会にこんな緑があるとは、と行く度に思う。
行きも帰りも新橋駅を利用したのだが。
新橋の街は滅多に来ないが、相変わらずでほっとする。
ごちゃごちゃしていて、どこかオヤジ臭くて、特に魅力的ではない。
しかし新宿やら渋谷やらには感じられない落ち着きのような何かがある。
現実だけが目の前に転がっている感じとでも言うべきだろうか。
飛躍した夢のようなものが辺りに見当たらない。
夢、ありゃいいってものでもないのかも。
そんなことをふと思った。
未経験者でも応募できる求人情報
在宅インターン募集
国際ビジネス支援をしている株式会社グローヴァの求人企画。
実務経験がないのでまず「とっかかり」が欲しい人には強力な助け舟となる、
用語集や訳例集の作成、校正やチェックなど未経験者でも応募可能な案件の紹介。
何といっても本物の翻訳原稿を目にできるのが一番の収穫では。
ちなみに2006/07現在、募集原語は英語のみ(え~)。
……どうしても他言語は市場が小さいのね。
翻訳学校
語学学習と翻訳学習は似て非なるもの。
外国語で書かれている意味が解ることと、その日本語版が書けることは実は違う。
例えば中文和訳の場合、単語を全て訳すと日本語らしくならない場合がある。
そういった概念やコツなどを体系的に学ぶには、専門のスクールが一番。
別項「なるには本」のデータ集に主なスクールの一覧がある。