10年ぶりの関空

電機、機械分野に特化した専門用語辞書が欲しくなり唐突に上海旅行?を手配した。
工業用語辞書と情報、通信分野の辞書は手元にあるものの、
どうも需要として大がかりな電機やら機械やらのほうが多いらしいので買い足さねばと思った次第。
お気に入りの辞書とお揃いで買おうと思ったら大荷物必至なのでほぼ空のスーツケースを用意した。
大学を出て以来ずっと東日本に住んでいたこともあり、関空を使うのはちょうど10年ぶりになる。
真新しいラウンジができてみたり、よくわからない会員優待制度ができてみたりと時代を感じるものの
これがかの有名な閑古鳥か!というほどの空きようが一番の驚きだった。
いくら夏休み期間を外した平日とはいえ、施設のどこにも行列ができていない。
そば屋は一人で入っても厭な顔ひとつされず、隣の席は空いていた。
手荷物検査と出国審査を合わせても10分とかからなかった。
羽田(の国内線)の手荷物検査より係も少ないが乗客も少ないのだ。
あるいは搭乗便の遅延のせいで混む時間帯を外れた幸運もあったかもしれない。
それにしても。出国手続き後に入ったラウンジは独占状態。
ラウンジでない待合い席にも人影はまばら。
何だか心配と言うのもおかしいが、流石にがらがらすぎではないだろうか……。

ゲストのいない「お誕生会」

日光のペンションに行ってきた。
ダンナと二人だけの「お誕生会」。
ゲストもホストもない。二人とも主賓。
というのも、誕生日が四日しか違わないのだ。
日光駅からペンションまで3km強の道を歩いてみることにした。
私は兼業当時3~4kmの通勤路を歩いていたので平気だったが、
客先まで徒歩5分のダンナは荷物を背負っていたこともあり途中で少し休憩。
車の渋滞さえなければ山なので空気がいい。
田母沢川の流れが目の保養にもなり、思わぬ収穫だった。
瀞の色を見て、これが日本語で言う水色なのかと感傷にふけってみたり。
乗ろうかどうか迷っていたバスに追い越され、その黒い排気に辟易してみたり。
出先で散歩してみるのも一興だと感じた。
チェックインから夕食まで時間に余裕があったので、24時間やっているという内湯に浸かる。
天然ならぬミネラル温泉と表記されていたが、消毒くさくないだけでも御の字。
見知らぬ人と入るにはやや窮屈かもしれない広さだったが、
貸切制にしているとのことで脱衣所の鍵をかけた。
全身を伸ばしてゆったり入浴するだけでも本当に気持ちがいい。
そしてお目当てはコース料理(の後のデザート)。
ペンションのせいかホテルやレストランのような緊張感なく料理がいただけた。
……周囲の客がカジュアルな格好だったせいもあるだろうか。
肉料理が出ると、「デザートはあちらでお申し付けください」との案内が。
色々なホールケーキの並ぶショーケースでは、小学生ぐらいの息子さんが待っていた。
「コチラ、ケーキトナッテオリマス。オコノミノモノヲ、3種類グライ、コチラノホウカラ、オ選ビクダサイ」
緊張しているのか不慣れなのかぎこちない声のかけ方だったが、目がしっかりこちらを見ている。
失礼にならないよう気をつけながら3種類ずつ選び、一礼して席に戻った。
かわいいね、ここの息子さんなのかな、などと話していると……
それまでシャンソンだった店内音楽が「ハッピーバースデー」に。
奥さんが「お誕生日おめでとうございます」とロウソクの立ったケーキを運んできた。
特典なのか、その場でポラロイド写真も撮ってもらう。
ささやかながら、とボールペンまでもらった。
心遣いにほっとする、というのはこういうことだろうか。
食後には一休みして貸切露天風呂へ。
標高があるのか外気はだいぶ冷えていたが、却ってお湯が気持ちよかった。
いい景色を見て、おいしいものをおなかいっぱい食べて、お風呂でゆっくり。極楽極楽。

相変わらず変化しっぱなしの上海

2泊3日で上海に行ってきた。
よく覚えていないが2年ぶりぐらいだと思う。
主な目的は本の買い漁り。
今回は結果的に7冊。
書店では別々の売り場にあったものだが、どれも日本ではビジネス書になる。
どんなものを買ったかは読みながら追々書く予定。
それにしても相変わらず街のいたるところで工事中。
日比谷公園ほどの広さもありそうな高級?マンションなど。
次に訪れるころにはまたランドマークが変わっているだろうと予想。
変わったもの
・あまり高くない飲食店でも「再次光臨(またのお越しを)」。
 台北で聞いたことは以前にもあったが、上海では初めて。
・タクシーがナビ付き
・高速道路にVICSのような表示とオービスのような表示
 行き先案内の緑看板を見ると、進行方向が緑のLEDで彩られ「前方暢調」の文字も。
・淮海路の小さな洋品店
 どこも新しく小奇麗な感じになっていた。
 かつてはオバサン服よりどり3枚100元なんて店がざらだったのに。
・地下鉄の路線が倍増、かなり郊外まで延伸
変わらないもの
・街中にはためく洗濯物。布団も頭上にあったり。
・空港の自販機が故障?近くの免税店に聞いてみたら「いつもなんだよねえ」。以上。
・日本人と見ると偽ブランドの鞄を売りつけようとする連中
 売りたいのは分かるが、中国語で話しかけてどうする気なんだか。
 かと言って日本語で声を掛けられたらその瞬間に拒絶反応を起こしそうだが。
・天井の一部が落ちていても平気で営業している飲食店
 しかも安くない。

のどかな半島の怖~い人々

ペンギンが3種類いるという南知多ビーチランドへ行ってみた。
駅から歩くと公称でも15分と軽く運動になる遠さ。
ようやく入口案内が出てきたと思ったら、「?」に遭遇。
いかにも公式な大規模看板と、胡散臭い手書きの「正面ゲートこちら」看板が個人商店を挟んで左右に置いてある。
大きい看板のほうが広い道に続いていたので、ひとまず手書き看板は無視。
しばらく進んでいくと、何やら叫びながら旗を振っている女性が数名。
皆いでたちは農作業の片手間そのものといった感じだが、顔は必死の形相である。
赤やら黄色やらの派手な旗を振りながら、車を自分の駐車場に誘導しているようだ。
……「誘導」と言うにはかなり語弊がある。「勧誘」、いや「客引き」だ。
車道に身を乗り出して、車が来ると更に間合いを詰める。
傍から見ていると轢かれそうな位置まで行って、運転者に話しかけているのだ。
「正面ゲートにはこっちが近いよ」
「こっちは400円だよ、奥のは500円だで」
彼女達を素通りして公式駐車場に向かう人々も勇気があると言おうか、……。
場内ひとしきり観覧後。
ゲートから公式駐車場を見ると、完全に満車だった。
園の人とおぼしき誘導係が枠の引かれていないところに停めさせている。
まさか、と思いつつ園を出ると、やはりそのまさかだった。
彼女達の戦いはさらに過熱している。
「奥は満車だから~!」と叫びながら飛び出す者あり。
園とは無関係な蘭の温室あたりで構えている者あり。
舗装こそされていないものの、彼女達の駐車場もそれなりにちゃんとしている。
下手に客引きなんかするから胡散臭くて客が寄り付かないだけに見えるのだが
何が彼女達をそこまで必死にさせるのだろうか。
ふと手書き看板のうち一枚を見ると、400円が500円に変わっていた。
……最初から500円にしておとなしくモギリだけやっておけば信用もされるのに。
もしくは警備員っぽい衣装にするとか。
ペンギンがたくさんいたというより、怖い人を見てしまった印象のほうが強かった。
ビーチランドも印象を損ねているのではと勝手に心配。

折りたたんで、ありがとう

静岡で大道芸ワールドカップなるものを見ていた。
ワールドカップというだけに、外国人選手?も結構いる。
各人の演技は言葉の壁など無関係に面白かった。
ただ、私の興味を引いたのはその後である。
大道芸には投げ銭がつきものらしい。
各演技の終了時には必ず「投げ銭タイム」があり、
演者が自ら集めたり、ボランティアスタッフが手伝ったりする。
無言でも笑顔で空のトランクを差し出せば結構な額になるのだが、
わざわざ日本語をがんばってくれる縁者が素敵だ。
「明日、帰るのね。軽いの、うれしい」
「お気持ち、何でも、大歓迎。光るのも、たたむのも」
片言なのだがたどたどしいというよりリズムがいい。
とある中国人の演者さんに千円札を畳まないで渡してみた。
「ああ、折りたたんで、ありがとうございます」
振る舞いからするに、彼は畳めとは言っていない。
たたんだもの=たためるもの=紙=紙幣、を指している。
「いっぱい、たたんで、おありがとうございます」発言さえあった。
無論、くしゃくしゃに畳めばいいわけではない。

建国暇日花市

部屋で一休みしているダンナを置いて、ひとり建国南路へ。
そこには土日にしか開催されない花市があるのだ。
高架式の道路の下が500mほど市場になっている。
入口の商品はだいたい道の両側に寄せられているが、進んでいくと中央分離帯のあたりにも物が並ぶ。
意外にも若い買い物客が多く、移動にも一苦労だった。
そんななか、妙な物件を探して歩き回る。
まず見つけたのがこれ。
縁起物っぽい飾りのようだが、なんだかよくわからない丸い物がくるくる回っている。
写真を撮っているだけで視線が気になり触る勇気はなかったが、
石のようなものが噴水に浮いて回っているようだ。
妥当かどうか判らないが、「金は天下の回り物」?
台湾らしいな、と思ったのは「金のなる木」。
装飾でキンキラキンだ。
錆びた銅貨を無理やり通している日本のそれとはだいぶ違う。こちらも派手だ。
幸運=金運=キンキラキン?
植物そのものが「らしい」と言えばこちら。
白からオレンジまであるが、全部ブーゲンビリア。南の島らしい。
でも鉢植えを上から見るのは微妙な感覚。これって温室で高い所に置くものかと思っていたので。
日本っぽい?ものもしっかりある。
ハバネロがあったり、マメデルモンがあったり。
でも集まっている客層は日本のよりオトナ?

中華航空

先月から予約を入れ、待ちに待っていた台北旅行。
書店をじっくり見てみたい。
あわよくば訳して面白そうな本に出会いたい。
行きの飛行機は中華航空CI109便。
ゲームやビデオ鑑賞のできる複合端末つき。
パズルゲーム「上海」で暇をつぶす。
使用感は悪くないのだが、牌の絵がやる気ない。
普通は「一萬」とある牌が「一万」。竹の柄も見たことがないゆらぎっぷりだ。
“Chinese noodle or simple rice?”
え?と思い耳を澄ませても、
「炒麺、還是米飯(焼きそば、それともご飯)?」
普通は肉か魚かが選択肢ではないのか?
さして期待もせず麺を選択。
なかなかどうして、機内食は望外のおいしさだった。
焼きそばは熱いまま出るし、パンも温めてある。デザートも果物3種類とマンゴープリンという豪華さ。
普段は焼きそばと言えばソース味しか認めないダンナも興味ありげにぱくぱくと食べている。
この味についていけるならば(注:私にはおいしい)、夜市に行っても食べられるものはありそうだ。

流通してません

託送荷物がないので、入管も税関もほいほいと通過。
空港のカウンターはレートがよくないらしいので当座の現金はキャッシングを利用することに。
ATMの周りは無人だったので、安心して引き出せた。
無論ダンナに見張ってもらってはいたが。
宿へ向かうため、台北市内方面へのバスを探す。
4社ぐらいの切符売場が一箇所に集まっていて便利。
下調べで決めていた会社の窓口で宿の名前を言うと
「では100元です」
「2枚で」「では200元です」
ここまではよかった。
去年の旅行で余っていた1000元札を出すと、
「……この札、だめ。銀行で換えて」
?!
「今の札にこの柄は入ってません」
手元では蒋介石が微妙に微笑んでいる。
「え、じゃあ、こっちでいいですか?」
引き出したばかりのピン札を出すと、微妙な笑みで受け取ってもらえた。
「そっちの札は旧版なんだよ」
お釣りを出しながらお兄さんが教えてくれた。
……去年は使えてたのに、使えないなんて不思議。
宿に着いてからフロントの人に聞いてみる。
「この札って使えないんですか?」
「今はもうだめ。銀行で換えるしかない」
「銀行はどこでもいいんですか?」
「……台湾銀行」
ふむ。中央銀行でしか換えられない模様。

これは流行か文化か

地下鉄を乗り継ぎ、念願の「誠品書店」へ。
ビル丸ごと書店だという前情報だったが、上層階はどうも違うらしい。
2階が主で、1階と地下は文具やCDを扱っていた。
まずは1階の文具(と雑貨)売り場。
間違って渋谷の東急にでも入ったかのような風景。
こじゃれた雑貨がひしめいているが、どれも高い。
ダンナ「これってほとんど日本じゃん」
全くそのとおり、と思ってしまった。
iPodなんかもあるが、値段も一緒。
まぁ高いものは高いってことでしょ、と2階へ。
手始めに何が流行っているか見ようとして雑誌売り場を覗いてみると。
……。
日本の雑誌ばかりが目に付く。特に「洋書」扱いでもなさそうだ。
それどころか、普通に平積みされている。
翻訳の余地どころではない。
ファッションしかり、コンピュータしかり。
中国語で出されている雑誌のほうが明らかに少なく、ジャンルも限られている。
株式投資関連と、携帯電話ガイドぐらいだ。
ダンナ「普通に売ってるけど、みんな読めるのかな」
私「…..絵があるから大丈夫なんでない?」
ダンナ「でもLinuxとか」
私「コードとか英語みたいなもんだし」
半笑い。明らかに自信なし。
幸い雑誌以外の棚は中国語の本がほとんどだった。
でもよく見ると著者名が横文字だったりする。
挙句、オレンジページ別冊のような写真だらけの料理本はやはり日本の本が多く並んでいた。
中文和訳として余り明るい前途が見えない。
ともあれ厳選して5冊ほど購入。
詳しい内容は秘密。