翻訳原稿の内容を漏洩させまいとすると表現はおかしくなるかもしれないが。
どうしても気にかかる、と言うより心を刺す原文があり、紹介せずにはいられない。
中国人に「バカヤロー」と言ってはいけない。
#その中国語訳ではなく日本語の「バカヤロー」が問題である
昔、旅行ガイドか何かの本で見かけた記憶がある。
そりゃ普通そうだろう、ぐらいにしか思っていなかったのだが、
実は歴史的問題であるということに改めて気づかされた。
「バカヤロー」には日本軍の影がべったりとついている。
恐ろしい記憶を呼び起こしてしまうに違いない呪詛だったのだ。
そんなことも知らずに翻訳業をしていたのか、と嘲笑するなかれ。
私が気になっているのは、それを指摘しているのが今の中国の大学生だということだ。
幸いその学生は「一部の人の観点であり、これは解きうる誤解だ」と考えてくれているが
果たして普通の日本人は自分が知らない、相手だけが覚えていることを忘れることができるだろうか?
結論やら対処やらを一人で考えられる問題ではないが、考える必要はありそうだ。
国際取引のお約束、Invoice
何度か書いているとおり、翻訳の仕事が日本でばかり発生するとは限らない。
会員制サイトprozやTRADOSユーザサイトtranslationzone経由でやってくる案件は、ほぼ国外からのものだ。
国外からの案件を引き受けるということは、とりもなおさず国際取引をするということだ(当たり前)。
納品をしてお金をもらうという行為は輸出にあたる。
そこで必要になる帳票がInvoiceというのだが、送付書だとか請求書だとかいろいろな訳があてられている。
役割としては納品書と請求書を兼ねているようなものだ。
ふと、このお約束(Invoiceについて)が分からないばかりに海外との取引を躊躇している翻訳者がいたら勿体ないと思った。
ほぼ定型の書式があって埋めていけばいいだけなのだが、
国内用の請求書と違って帳票そのものがそのへんで売られていたりしない。
こういう帳票やら雛形やらを作る能力も探す能力も翻訳そのものの実力には関係ないだけに、
惜しいことをしている人が実は結構いるのではないかと勝手に思いついたまでである。
そこで、自分がいつも使っているWordの帳票をExcelに移して改変してみた。
Excelファイルのほうが後々で手直ししやすいし、特に知識がなくても利用しやすい。
「メールで訳文を納品」に特化した雛形は珍しいのではなかろうか。
記入例で初歩的なお約束が分かれば「メールで」を「郵送で」に変えたりすることは造作なかろうと思う。
誰かの役に立てる機会があるといいが……我ながらやや偽善くさい。
invoice_form.xls
ええ加減な会社(担当者?)
気が向いたのでProz経由の英文和訳案件を受けた。
……という私の態度もたいがいなものだが、相手担当者も負けてはいない。
応募条件が「サンプル文を訳すこと」「CV(職務経歴書)を見えるようにすること」
とあったので早速サンプル文を訳して提出したのだが、
返事は「おいら日本語は読まないから英語のCV見せて」
英語のCVならProzに置いてあるのに。
単純にダウンロードして送りつけると、ほんの4分後に翻訳原稿が来た。
「やる気があるなら返事してね」とのこと。
やりまっせ、と返答すると何故か返事は「謝謝」しかも簡体字。
住所も名前もアメリカ人なのに。
こっちのJapaneseって名乗ってるのに。
数時間後、訳文を納品。
まだPO(発注書)が来ていないことに気づき、PO番号を尋ねると
本当にPO番号だけが返ってきた。
果たしてこの会社から支払いはあるのかもしれないが、何だか軽く後悔に似た気分。
逆ヘルプデスク
夜9時過ぎに中文和訳の受注が入った。
WindowsのUIにある文字列は日本語版の実際のものを使うこと、と指示がある。
原稿の前半はXP環境についてのものだったので、手元で表示を検証できた。
問題は後半。Vistaでトラブルが発生した場合の対処方法である。
Vista機は私もダンナも持っていない。
余り評判が芳しくないうちは手を出さないでおこうというのが共通見解のためだ。
ふと某友人を思い出した。確か彼女はVista機を持っていた。
時間が時間なので恐縮ながら連絡を取ってみると、すぐに協力してくれた。
「急ぎじゃないなら金曜に(実機を)自分で見た方が早くない?」
「……ごめん、納期が明日なもんで」
そんなわけで画面遷移を(訳しながら)電話で伝えて、何が表示されたか読み上げてもらった。
書き取りが間に合わず二度も三度も読んでもらいながら……
いやはや本当に助かった。
「自分でも買えばいいじゃん」
「だって仕事に使えないし」
「じゃゲーム用に」
「エラー出まくるスリル体験ゲーム?」
「ぷらす、データ吹っ飛んで時間返せ~ってなるハラハラドキドキ」
……やっぱり要らない。
あまりにも国際的?
Prozで短い英文の各国語訳プロジェクト求人が出ていた。
求人元の翻訳会社はドメインが「.il」。見たことのない地域表示だ。
「I」と「L」のつく国?
そこのホームページを覗いて驚き半分に納得。……イスラエル。
ヘブライ語をいったん英訳して各言語に展開なのか、と勝手に想像していた。
私でも応募資格はあるようなので、やや高めに見積もりを出して放置(笑)すること一昼夜。
意外にもと言っては翻訳会社に失礼だろうか、原稿と正式発注のメールが届いた。
開いてまたしてもびっくり。題材はアメリカ企業のホームページだった。
つまり最終顧客はアメリカの人?!
翻訳業が世界どこでもできるように、翻訳会社も世界中でできる……のか?
働きに出てみる(笑)
家(ダンナ実家)での作業は気が散るといってダンナは毎日「働きに出て」いる。
なんのことはない徒歩数分のマクドナルドにパソコンを持ち込みお茶1杯で粘っているだけなのだが
私もいざ仕事をもらってみてそれもいいかもと思い、まねして午前中だけついて行ってみた。
無線LAN接続とACコンセントが提供されているので公衆無線LAN契約さえしてあればそこそこ使えるはず。
が、店の本業からして他のお客が静かであることは期待できないのを忘れていた。
静かなファーストフード店というのも気味が悪いと言えないでもないが、「業務」利用には耳栓が必携。
全く無防備でパソコンだけ持って行った私は午前中だけで撤退した。
仕事は昼にも追加で一件もらったのだが、ダンナ実家でそのまま作業。
こちらの家族には申し訳ないような、かといって他にどうしようもないような。
仕事始め
新年早々、海外より受注。
香港から短い英文和訳の引き合いをもらい、断ってばかりでも何なので受諾。
3頁弱の翻訳のために資料が20ファイルあったのにはやや驚いたが、
Winalignで対訳にまとめると結構そのまま流用できた。
機嫌よくとっとと納品したところ、今度は台北から引き合い。
中文和訳なので文句なく引き受ける。
何度か受けていたプラント設備の話かと思いきやさにあらず、
いわゆるIT、周辺機器のお話。
企業ニュースリリースと時事ニュース。
これは幸先がよい。
書き入れ時?
毎度S社長の手伝いをするたび本業が忙しくなる。
今回は依頼原稿が届いた数分後に割と大きな翻訳案件が来た。
納期が長めだったので分納はできないという条件で引き受け、
お手伝いが終わってから着手。
ほどなくして更に2社から引き合いが。
嬉しい悲鳴とやらはこういうときにあげるものなのだろうか。
よくあることだが、3社の案件は記事の分野が全く違う。
国語、理科、社会といったところか。
頭の切り替えが必然的に入るので実は多少のダブルブッキングも歓迎なのだが、
納期がかぶるのは流石に……と思いつつ、それでも全部受諾。
片付いた後の喪失感が今から心配なぐらいだったりする。
TRADOS入れ直し
翻訳仕事に戻ってしばらく順調にTRADOS作業を続けていたのだが、
唐突にWordが落ちた。
ファイルを修復して再開を試みると、今度はTRADOSが落ちた。
何も従来と違う操作はしていないのだが……
やむなくTRADOSの修復インストールをしたが、回復せず。
アンインストールから改めてインストールを行い、30分ほど費やした。
ライセンス有効化に10分。
……40分あったら1枚ぐらい進んだかもしれないのに。
こういうときに限って翻訳原稿がやたら長く、TRADOS指定だったりする。
お道具たちとは仲良くしたいものだが、振り回されるのはやっぱり……
TRADOSの買い替え
円高なので(笑)思い切ってTRADOSを買い替えることにした。
長いこと6.5版を使っていたのでアップグレード費用もばかにならないが
今年分の経費に放り込むにはぼちぼち時間がない。
TRADOSはちょくちょく特売?をしているため「次の機会」を待ってばかりいたのだが、
ホームページを覗いてみると一応5%割引はしているようなので買ってしまうことに。
商品説明が日本語(やや惜しいのはさておき)なだけ昔より幾分ましになったが、
どうしても購入ページは英語でしか利用できない。しかも文字が細かくてやたら疲れる。
買い換えを渋る理由の半分とはいかないが3割は英語のせいだ。
あれもこれも追加製品やサービスを押しつけてくる、っていうのが更に鬱陶しい。
追加製品Multiterm Extractは前回15万も払って痛い目に遭ったので今度はどうだろうと思ったが
考えてみると用語を自分で抽出する機会がさほど(元を取れるほどには)ないので却下。
まずはまともにUnicode対応したというTRADOS本体のみを購入することにした。
昔と違って空輸ではなく、ダウンロード販売になったのはいいのだが。
280MB(CDの半分)も取り込むのはとても暇がかかる。
この記事を書いている現在、ダウンロード開始から18分経過しているが進捗は21%に過ぎない。
曲がりなりにも光ファイバ接続なのだが。