夏の粋

お誘いを頂き近くの夏祭りを見てきた。
昼間から催し物はあったようだが、日が落ちても人、人、人。
浴衣どころか甚兵衛のお嬢さんも少なからずいた。


打ち上げ花火をこれほど間近で見たのは生まれて初めてかと思う。
会場いっぱいに硝煙を充満させ、花火玉の欠片を散らす「生」の花火。
はぜる音だけでなく、火薬が燃える音まで聞こえていた。
手持ち花火と同じ臭いと音が、桁違いの規模で押し寄せる。
空いっぱいの花火。
初めて単色の花火を美しいと思った。
数でもなく彩りでもなく近さが見せる躍動感。
夜景を撮る練習などしていないので、カメラに収めることはできなかった。
撮れぬ写真に執心するより花火を楽しもうと思い直したというほうが正しい。
記録に残して共有することこそできないが、それで正しかった気はする。
その時その場にしかないものを味わうのに、記録媒体は無粋すぎた。
とまあ自分の不器用さと怠惰を棚に上げつつ。
「いてくれてよかった、間に合ってよかった」
忘れない。

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