・エレベータに乗れない
・押しボタン信号で交差点を渡れない
「変なの」とよく旧友に笑われたものだが、未だに直っていない。
自分のために交通を止める勇気が出ないのだ。
第三者がいればそのために止めることはできるので、目立ちはしないが。
餞
この1ヶ月、多くの方から色々なものを頂いた。
物だったり、時間だったり、言葉だったり、どれもがありがたい。
何よりも、そこまで気に掛けていただけたこと。
容赦ない街
隣駅の商店街に行ってきた。
いつ開いているのかよく分からない鯛焼き屋を訪ねて。
月曜日に行っても「火曜日定休」と書かれたシャッターに阻まれる不思議な店。
見出し
最近また請けている朝刊翻訳の案件は、正しく言うとその見出しの翻訳である。
「今朝の~新聞ヘッドライン」と称してアナリストが拾ってきた見出しが原稿なのだ。
中国語と日本語では単語の略し方も違うので、一見して意味が分からないこともたびたびある。
歪な鏡
外見はむしろ似ても似つかないのに、ふとした瞬間「同じだ」と感じる相手がいる。
共感や同情などと比べものにならない、得も言われぬ感覚。
なんにもいわず
言葉にしてしまわないほうがいい、定義してしまわないほうがいいものもある。
渾然としたまま抱えているほうが人間だから。
その意味が少しずつ解ってきた。
豚に真珠
またしても誕生日プレゼントをもらってしまった。
返しようがないと思われる相手なだけに恐縮この上ない。
循環
思いがけず誕生ケーキをもらった。
食事に連れて行ってもらって、ただただ話を聞いた。
文字
何でも屋を自認する私は、原稿の内容が分からないという理由で仕事を断ったことがない。
ただし最低限の前提条件として、文字が読めなければならないのだが。
自身もかなりの悪筆ながら、手書き文字が読めなくて断る案件は毎月のようにある。
そこにある小さな幸せ
素直で、無遠慮で、元気で、優しくて、全く飼い主に似ていない。
呼んだからといって来てくれるとも限らないが、ちゃんと分かっている。
人の元気が足りないと、決まって肩でさえずり続ける。
もういいから、と断っても、苦笑が出るまで離れない。
苦笑でいいから笑えと促しているかのように。
ちょっと笑ってため息をつくと、機嫌を良くしたかのように飛び降りて走り出す。
普段なら視界の果てまで飛んでいってしまうのに、そういうときはいなくならない。
ちょこちょこっと振り返り、視線を確かめてからまた走る。
あるいは誘ってくれているのかもしれない。
振り返った頃合いを見計らって指を出すと、待ってましたとばかりにちょこんと乗る。
それでも無遠慮なのですぐ飽きて降りる。
何もない少し寂しい日常をいつもにぎやかにしてくれている。
いつでも、たぶんどこでも、この子がいれば優しい日常。