とうとう授業開始。思わぬところで知遇を得る。

先に渡されていた本とは別の教材を使った授業だったので、予習は徒労に終わる。
教科書の本文は至って分かりやすく何の問題もないのだが、指名されると答えられない。
何故なら、頭の中が大阪弁で動いているから…..やばいでこれ。
でも何とか先生の言っていることは聞き取れるので、この学習班に残るべきか迷う。
本は簡単だし、話は聞けば何とかわかるが自分の思っていることを表現できない。
少ない語彙でどうしましょうかと先生に尋ねたら、「慣れりゃ何とかなるさ」とのこと。
教科書は分かるかと聞かれて頷いたら、「じゃ上の級に移る?」って…..逆ぢゃあ(泣)!
在学期間の長い学生ばかりの班らしく、なじみにくさを感じながら帰宅。
ところが、お昼にでもしようかと外に出たら同じ班の人に行き当たった。
なじみにくくてどうしましょう、と問い掛けたところで意気投合。
よくしたことに、彼女は何と三国志関係のライターさんだった!
「こういう話ができる相手いなくって」と喋り出したらかれこれ三時間。
彼女の三国志部屋も見せてもらい、更に友諠商店(外国人御用達百貨店)で買い物する約束までする。
こういう人に出会えてしまうと、必要以上に安心を感じてしまう私である。
名前はちゃんと聞いたが、敢えて”師匠”と呼ばせてもらうことにした(笑)。

ポートマンシャングリラ上海にお茶しに(笑)行く。

四人で同じ卓についたが、国籍がみんなバラバラ。英語で会話する。
ドイツ、ノルウェー、オーストラリア。それでも通じるものは通じてしまう。
時には中国語、時には英語。いたずら半分に日本語も教えてしまったりした。
点心類をとって軽食といったところだが、お茶で満腹になってしまった。
どうして客一人にポット一杯(約600ml)も出すんだよぅ(泣)!
しかも自分では注いでいないのに、気がつくとカップが満杯になっている。
至れり尽くせりってこういうことなんだろうか。まぁプーアル茶だからいいけど。
点心は文字どおり飲茶のつまみ程度で、お昼として食べている人々にやや譲った。
ホテルの茶園だからか、どれを食べても味つけが薄くて上品に感じる。
が、牛ミノの煮込みだけはコテコテに辛かった。味噌と唐辛子の連続攻撃。
甜点心(デザート類)が甘過ぎないのは有り難くて一同かなりウケていた。
「甘いものは入るところが違う」のは世界中の女の子で共通らしい。ひと安心。
それにしても減肥茶でお腹が一杯なんて、何だか情けない。
私は痩せたいのか?太りたいのか?

我が老師(注:”老けている”という意味はない)の同窓生と初めてお会いする。

うちの先生は、私が思う以上に私のことを心配してくれているらしい。
何かあったら頼るようにと、大学に残っている同窓生に連絡しておいてくれたのだ。
そのうちの二人には、紹介状まで書いてくれている(内容は知らないが)、
両人とも本学の先生なので私のいる国際文化交流学院に直接の関係はないが、
夜に連れ立ってわざわざ訪ねて来て下さった。勿体無い話である。
当地に不案内な私を歩かせるよりは、とのお気遣いらしい。
一人は日本語が分かるので、私の中国語が不十分でも何とか会話になった。
「こっちには慣れたか」「友達はできたか」と、親がするような心配ぶりだった。
うちの先生もそういうお方なので、類が友を呼んだということなのだろうか。
中国式お友達の作り方と少しの上海語を習う。
お友達の作り方①とりあえず本学の学食に行ってみる。
②何げに中国人学生のそばで食事を始める。
③隣が友好的な子ならばきっと話し掛けてくる(笑)。
④「日本人の留学生です。お友達が欲しいんです」と言う。
何とこれだけ。中国式というよりは復旦大学式と言うべきなのかもしれない。
何故なら前述のように普通の中国人は無愛想だから…..。
復旦大学の学生さん達は好奇心のかたまりで、しかも割と留学生が好きらしい。
これは是非、そのうち試してみねば!

開学典礼(入学式とはまたちょっと違うらしい)。

偉い人(学長と主任)の話には英語翻訳がついた。偉くない人はそのまんま。
でも偉くない人の方が中国語は明快で発音も聞き取りやすかった。
そしていよいよクラス分け。E−1班に決まった。中級の上、らしい。
中級教材の、しかも何故か下巻をもらった。細かいレベル別なんだろうか。
先生のうち一人が私の講座の先生と知り合いらしい。少しほっとする。
だからってわざわざ部屋番号まで聞くかなぁ、先生が。
だが聞いたところによると中国の先生ってそんなもんらしい。
他の先生にしても非常に面倒見がよく(家庭的?)暖かい印象の人が多い。
典礼の講話でも「皆さんを自分の子供のように」云々のたまっていた。
異郷の徒である我々には有り難い話である。
でも中にはいるんだろうな、「鬱陶しいよ、そんなの」なんてほざく輩が。

学則と法律関係の御説教を聞く。

学校からの話は先に配られている冊子の概略なので聞くまでもなく
公安の話は短期滞在の私には必要のない手続き関係のものだったが、
必須参加とあるので止む無く午前二時間、午後一時間。
感心なことに、どちらにも英語・日本語・韓国語の通訳(?)がついた。
中国語でも英語でもある程度までは内容が分かるので、
日本語訳を聞いているとどうしてもそのアラが気にかかってしまう。
てにをはがメチャメチャだったり語尾が揃わなかったり。
揚げ句、訳語がなくてとばしている部分まであった。
何て雑な訳し方してるんだ!と最初のうちは思ったが、そのうち慣れた。
冷静に考えなおしてみると、それだけ日本語が難しくややこしいんだろう。
よく言えば繊細かつ優雅、悪く言えば閉鎖的で融通がない。
それを平気で喋っていられる日本人って、実は偉いのかもしれない。

雑技を見に行く。そう、お茶の間でおなじみのあの”上海雑技団”をだ。

一輪車あり、軟体芸あり、バック宙なんてざらにありありの公演が一時間半。
席が前の方だったので、紐が独楽をこする音まで聞こえて感動した。
これだけ素直に喜ぶ時間が持てたのは、いつ以来だろう。
やっぱり生は違う。これだけでも中国に来た価値を感じてしまうほどだ。
派手で器用で律義な雑技団の面々に、何となく励まされた気がする。
これだけできるんだから人間ってすごいよ、と思ってしまう。
道を見つけ、舞台に立つってこういうことなんだな、と勝手に納得した。
何でもできると思っていた子供の頃にこれを見たら、人生が違っていただろう。
現実に帰り、上海の道路を横断する。中央分離帯をまたいで乗り越える。
私にできることって何だろう。私の道ってどんなだろう。
今から考えたんじゃ遅いんだろうか。何なら間に合うんだろうか。
そろそろ一つの答えにいきつく時間のような気もするが、まだ焦りたくない。

早いもので来てから一週間。行事で上海観光。

楊甫大橋・南甫大橋をバスで通り、友誼商店でお買い物という日程。
往復にお買い物まで入れて三時間半と、やや強行っぽい。
ガイドらしいおっさんがマイクも使わず何やら喚いている。半分しか分からない。
橋は両方とも大きいだけでどうということはなかった。でも新しいらしい。
「瀬戸大橋のがすごいよ」と誰かの声がする。較べるなっちゅうに。
私から見れば、こんなもんを堂々と観光名所に歌い上げる根性の方が感心ものだ。
上海人って広大な井戸の中の蛙だったりして、とうそぶいてみる。
友諠商店に何げにホンダ車。レジェンドとアコード。かっちょええ。
別段ホンダびいきという訳ではないのだが、珍しいので光って見えるのだ。
かと思えば帰途に日産セドリック。オデッセイなんかともすれ違った。
絶対こいつらのがサンタナとかより恰好いいのに、…..高いんだろか、そんなに。
胡弓があったので買いたかったが、どれがいいのか分からないので断念。
今より喋れるようになって、先生に教えてもらって、それから来るぞ(できたらね)。

暇なので(笑)ちょっとだけ自分で勉強する。

五角場(最寄りの繁華街)に一人で出かけ、葉書きを投函しがてら本屋へ。
日中・中日辞典が26元。大きさも手頃だったので、喜んで買う。
流石に日本語の教材なんてものはないので、英語教材を買ってみる。
「大衆英語」なる日本では英検3級前後の難易度の問題集(上・下)。
上巻だけでいいやと思ってレジまで行ったら、下巻も持ち出すまで売ってくれない。
揚げ句、「これ問題集ですけど、テキスト要らないんですか?」なんて云われる始末。
外国人だからナメられたんだろうか。いいんだよ、これで!とばかり、そのまま買う。
部屋には先に買った「ビジネス日本語大全」なるものがあるので、先にそっちを写す。
冷房があるだけで、ちょっとした極楽気分。外はまだ暑いんだろうな。

行事で京劇を見に行く。

上演された四話のうち理解できたのは最後の「鴻門の会」だけ。
王昭君の悲話も知っていたはずなのに、流れがよくわからなかった。
もともと「おっさん好み」と云われる私だが、またしても氾にやられる。
それにしても京劇はキャストの色分けが明確すぎる。項王が真っ白。
真っ赤が二人と、あとは普通(って云うべきなんだろな)。
踊りというか殺陣というか、動きの派手さに圧巻。よく動く人々だ。
冷房に漬かりすぎたせいか少し頭痛。悔しいが洗髪をとりやめる。

いきなり学校がお休み。寝ても寝ても眠いのでずっと昼寝。

何も書かないのもつまらないので、ここで今まで目にした中国の日本車。
・トヨタエスティマ、ベージュっぽいメタリック。
・トヨタプレビア(初めて見た。エスティマより少し大きい)
・ホンダシビック(多分97年型)、赤。
・ホンダアコード(2000cc)、紺。
・日産アーバン(ホーミーらしい)、白。
・日産ブルーバード、灰色っぽいメタリック。
因みに、八割型はフォルクスワーゲンのサンタナとかいう車種である。
しかも暗い赤と紺ばかりで、白はたまにしか走っていない。不気味。
どうでもいいが、洗車場は結構あるのに洗車してる人を見たことがない。
自転車なら洗ったり磨いたりする人が多いのに…..。